随筆風小説 プレイリスト

トラック04 Or the Beautiful Golden Drop By Knights あんスタ

目を覚めると、暗闇の中にいた。 明かりだけが、この世界の中の正義。それ以外は、全て物をなさない。有無も言わず暗闇の中に溶けていく。そこに、何かがあるのに何もない感覚に襲われる。そして、自分自身も存在していないような感覚になる。確実に自分はいて、存在していることは分かっているのに、存在が否定されているようだ。 それでも手を伸ばす。何かがあった。 それは、時計だった。 不意にその時計がカチッと左回りに動いた。 その瞬間、目の前が真っ白になった。

目覚めると、お茶会のテーブルの椅子に座っていた。目の前にはたくさんの料理が並ぶ。 辺りを見渡すと、見たことがない薔薇園の中にいるようだ。 隣のテーブルにも人がいるようだが、言葉が分からず、何を話しているのか分からない。

うさぎがとてとてと歩いて来た。 「初めての方ですな」 何故か言葉を出すことが出来ない。 「きっと、言葉を出すことが出来ないでしょう。だって、あなたは招かれざる客なのですから。」 それでも、何故か心地良かった。 隣の席から話し声が聞こえる。

ここにいてもいいかなとも思う。 あんなに暗くて寒い世界にいるなら。 ずっとここにいたい。

しかし、違和感を覚えた。 夜にならない世界だったのだ。

それはそれで、退屈になってしまった。 何も考えることがない。 なんとなく、隣の人の話を聞いていた。 始めは気づかなかったが、驚いたことに同じ話を繰り返ししていた。

ずっとこの世界にいて考え始めた。

ずっと平和な世界にいたいとも思った。 でも、それでも、やりたかったことをやりたい。 夢に向かって一歩を踏み出すことに決めた。

そんな時にうさぎがさっと1杯の紅茶を差し出した。 「覚悟を決めたのですね。それなら、応援してます。」 差し出された紅茶をゴクリと飲み干した。

どんなに暗くて何も見えなくても、自分の行くべき道があると信じて進んでいこう。 そんな決意を胸に、前へ進む。

目の前に、あの時計が出てきた。 不意にその時計がカチッと右回りに動いた。 その瞬間、目の前が真っ暗になった。

※この作品はフィクションです。実在の人物、団体とは関係ありません。

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参考楽曲

Or the Beautiful Golden Drop  〜By Knights あんさんぶるスターズ

あとがき

あんスタで初めて出会った曲。 この曲を聞いた時、一番に書いてみたいと思った。 環境が変わらなくても、自分の心次第で世界は変わる。 不思議な世界と現実との融合

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